抗凝固薬の代表ワルファリン(ワーファリン®)とは?|拮抗薬ケイツーについて解説

治療

今回の記事ではワーファリン内服中の採血データの読み方について簡単に解説していきます
最近はDOACが主流になってきており、ワーファリンの出番は少なくなっているようですがまだまだよく見る内服薬です ワーファリンは1錠約10円とコストが低く施設入所している利用者さんなど幅広く使用されます


どんな人が内服している?

  • 人工弁置換術後
  • リウマチ性僧帽弁狭窄症
  • 高度の腎機能低下の患者 
  • 薬価の問題でDOACが使えない場合
DOACは腎排泄されるため透析患者など高度な腎障害がある患者には禁忌とされています
一方、ワーファリンは腎排泄1%以下なんで腎機能低下した場合も使えます

検査データはPT-INRを確認しよう

ワーファリン内服中はPT-INRの値のもと有効な範囲でコントロールされているか確認します

非弁膜症性心房細動 一次予防(低リスク)INR:1.6~2.6
非弁膜症性心房細動 二次予防(高リスク)≧70歳 INR:1.6~2.6
<70歳 INR:2.0~3.0
弁膜症性心房細動INR:2.0~3.0
PT-INRの目標の目安

PT-INR延長時の対応(出血がない場合)

>9.0中止 ビタミンK(2.5~5㎎)内服 <3.0で減量し再開 
5.0~9.0数日スキップ ビタミンK(1~2.5㎎)内服 15%減で再開
4.0~5.01回スキップ 10%減で再開
3.0~4.010%減

PT-INR延長の要因

  • 下痢、閉塞性黄疸、食欲低下→ビタミンKの吸収ができない
  • 肝不全、心不全、腎不全、DICなど身体的な問題
  • 薬物相互作用→抗菌薬(キノロン系、ST合剤、エリスロマイシン)、抗真菌薬、NSAIDs、ステロイド、抗不整脈(アミオダロン)など

一番よくあるのが薬剤相互作用です 施設入所中の患者さんが尿路感染などでレボフロキサシンを使用し、その後出血といった流れも度々あります

ワーファリン内服中に出血したら?

ワーファリン内服中の出血は命にかかわります すぐに医師に報告する必要があります

新人看護師
新人看護師

出血してるけどバイタルサインは変わらないから報告しなくても大丈夫か…

先輩看護師
先輩看護師

絶対だめ! すぐに報告しましょう

病院の場合は血算や凝固の採血を取り、ケイツーの静脈注射を行います
貧血があればRBC輸血を行ったり 止血されなければFFPの輸血やプロトロンビン複合体製剤(ケイセントラ®)を使用する場合もあります

ケイツーって?

ビタミンKを補充することで、ビタミンK依存性凝固因子に働きかけプロトロンビン等の肝合成を促進し止血機構を賦活して生理的に止血作用を発現します  逆に言えば、ビタミンK依存性凝固因子以外が原因の凝固異常には使えません そのため、ワーファリンの拮抗薬として使われます

出血している場合は急いで止血したので、ケイツー10㎎を生理食塩水に希釈して単独ルートで静脈点滴行います 光分解を防ぐために遮光カバーを使用します 
はじめて投与することが多いと思うので過敏症にも注意します

3時間くらい経過した後に採血で再検し効果を確認します

まとめ

ワーファリンが良く使われる薬剤ですが、出血を起こすと命にかかわるため出血や貧血がないか確認することは重要です
ワーファリン内服中している患者さんへの看護がひとつレベルアップできたのではないでしょうか


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