ノルウェー疥癬と通常の疥癬の違い:症状・感染力・治療方法を徹底解説

治療

疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)によって引き起こされる皮膚感染症で、強いかゆみを伴います。しかし、疥癬には「通常の疥癬」と「ノルウェー疥癬」(別名:結節性疥癬)という2つのタイプが存在し、それぞれ症状や感染力が大きく異なります。本記事では、ノルウェー疥癬と通常の疥癬の違いを詳しく説明し、症状や感染経路、治療方法について徹底解説します。

※治療や感染管理は医師の判断や各施設のマニュアルご確認ください。


ノルウェー疥癬とは?

ノルウェー疥癬は、通常の疥癬とは異なり、皮膚に大量のダニが寄生する重症型の疥癬です。特に、免疫力が低下している高齢者や、免疫抑制剤を服用している患者に発生しやすいのが特徴です。1940年代にノルウェーで初めて確認されたことから「ノルウェー疥癬」と呼ばれ、感染力の高さから医療現場での管理が非常に重要視されています。


ノルウェー疥癬と通常の疥癬の主な違い

特徴通常の疥癬ノルウェー疥癬
ダニの数数十~数百匹数千~数百万匹
感染力接触感染非常に高い感染力、接触・環境感染
症状強いかゆみ、湿疹軽度のかゆみ、皮膚が硬くなり白いかさぶたや鱗屑が見られる
皮膚の状態湿疹、丘疹分厚く硬い皮膚、角質増加による「鱗状」
発症リスク健康な人にも発症免疫力が低い人、免疫抑制剤使用者が多い
治療の難しさ比較的治療しやすいダニ数が多く再発しやすいため治療が困難

ノルウェー疥癬と通常の疥癬:症状の違い

通常の疥癬の症状

通常の疥癬は、皮膚に小さな湿疹や丘疹が現れ、特に夜間に激しいかゆみを伴います。指の間や手首、肘、脇の下などによく発生し、ダニが皮膚内に「トンネル」を掘って生息・繁殖するため、「トンネル状の線」が見えることがあります。

ノルウェー疥癬の症状

ノルウェー疥癬は、かゆみが軽度または無症状であることが多く、皮膚が分厚く硬くなり、白いかさぶたや鱗屑が生じます。手や足、臀部、肘、膝などに発症部位は多岐にわたります。角質が増殖し「鱗(うろこ)」のように見えるため、感染力が非常に高くなります。皮膚には大量のダニが存在し、環境中にも広がりやすいため、感染管理が重要です。


感染力の違いとそのリスク

通常の疥癬は、長時間の皮膚接触によって感染します。家庭内や介護施設、病院などでの感染リスクが高いですが、一般的にはそれほど感染力は強くありません。しかし、ノルウェー疥癬は接触だけでなく、皮膚から剥がれ落ちた鱗屑やリネン、衣類を介しても感染します。そのため、ノルウェー疥癬の患者に接触する医療スタッフや家族は、通常以上の感染予防策が必要です。


ノルウェー疥癬と通常の疥癬:治療方法とその違い

通常の疥癬の治療

通常の疥癬は、ペルメトリンを含む外用薬やイベルメクチン内服薬で治療されます。治療効果が高く、通常2週間ほどで症状が改善します。再発も少なく、比較的治療が容易です。

ノルウェー疥癬の治療

ノルウェー疥癬はダニの数が多いため、治療が複雑です。ペルメトリン外用薬やイベルメクチン内服薬を複数回使用し、治療期間が長引くことがあります。また、再発しやすいことから継続的なフォローアップが必要です。医療機関や介護施設では、患者の隔離、リネンや衣類の消毒、感染対策が求められます。


医療現場での感染管理

ノルウェー疥癬は、通常の疥癬と比べて感染力が強いため、医療現場では徹底的な感染管理が必要です。患者を個室で隔離し、ケアに携わる医療スタッフはガウンや手袋、マスクなどの防護具を着用します。さらに、使用したリネンや医療器具は消毒・洗浄を徹底し、感染の広がりを防ぎます。

また、アルコール消毒では死滅しません。集団感染の原因になるので個室管理が必要です。病室からリネン類を持ち出す際は、必ずビニール袋にいれて疥癬とわかるようにしてっ洗濯に出します。


ノルウェー疥癬と通常の疥癬:違いを理解し、正しい対策を

ノルウェー疥癬と通常の疥癬は、症状や感染力、治療方法に大きな違いがあります。ノルウェー疥癬は特に免疫力が低い人に多く発生し、非常に高い感染力を持つため、医療機関や介護施設では特別な感染管理が求められます。適切な治療と感染対策を行うことで、疥癬の感染拡大を防ぎ、患者やスタッフの安全を守ることができます。


まとめ:ノルウェー疥癬と通常の疥癬の違い

  • ノルウェー疥癬は通常の疥癬よりもダニの数が多く、非常に高い感染力を持ちます。
  • 症状も異なり、ノルウェー疥癬はかゆみが少なく皮膚が硬く分厚くなるのが特徴です。
  • 治療が難しいため、医療機関での管理や再発防止が重要です。

ノルウェー疥癬と通常の疥癬の違いを理解することで、適切な対応と予防策を講じることができます。医療現場では、早期発見と適切な管理が感染防止の鍵となります。

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