【2024最新】疥癬の診断・治療薬について解説

治療

1. 疥癬の概要

疥癬は、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)によって引き起こされる皮膚感染症で、強いかゆみを伴います。感染経路は、主に直接的な皮膚接触であり、集団生活をしている人々(特に家庭内や施設内)で感染が広がりやすいです。


2. 疥癬の診断

2-1. 臨床所見

かゆみは特に夜間に悪化し、皮膚には小さな水疱や膿疱、紅斑が現れ、かきむしった跡が見られることがあります。発疹は主に指の間、手首、肘、脇、陰部などの部位に現れることが多いです。

2-2. 診断の確定

確定診断には、皮膚をスワブして得たサンプルを顕微鏡で観察し、ダニやその卵、フンを確認します。また、皮膚掻痒法やダーニー検査、皮膚生検によっても確定診断が可能です。


3. 疥癬の治療

3-1. 外用薬(局所治療)

疥癬の治療において、外用薬は最も広く使用されている方法です。現在、保険適用となっている薬剤は以下の通りです。

3-1-1. フェノトリン(スミスリン®)ローション

フェノトリンはピレスロイド系薬剤で、ヒゼンダニの神経に作用して駆除します。日本では保険適用薬として利用可能です。

  • 使用方法: 1週間間隔で、1回1本を頸部から下の全身に塗布し、12時間以上経過した後に洗い流します。
  • 使用期間: 塗布のときに卵であたヒゼンダニを確実に駆除するには少なくとも2回の塗布が必要です。
  • ガイドラインにおける推奨度はA(行うよう強く勧められる)です。

詳細はこちらご確認ください。

3-1-2. イオウ外用剤(硫黄製剤)

硫黄製剤は、疥癬に対する治療薬として長年使用されています。ダニ駆除効果があり、皮膚への刺激性が少ないため、敏感な皮膚を持つ患者にも使用されることがあります。

  • 使用方法: 5~10%の沈降イオウ軟膏を塗布し、24時間後に洗い流します。2~5日間または7日間繰り返し塗布します。
  • 注意点: 硫黄の臭いが強いため、患者によっては不快感を感じることがありますが、効果は確実です。
  • ガイドラインにおける推奨度はC1(行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない)です。

イオウ剤の添付文書はこちら

3-2. 内服薬(全身治療)

3-2-1. イベルメクチン(ストロメクトール®)

イベルメクチンは、ダニの神経系に作用して駆除する内服薬で、重症例や外用薬に反応しない症例に使用されます。

  • 服用方法: 体重に基づいて空腹時に1回服用します。
  • 副作用: 通常は副作用が少ないとされていますが、稀にめまいや倦怠感が見られることがあります。
  • 現在、疥癬に保険適用のある唯一の内服薬であり、ガイドラインにおける推奨度はA(行うよう強く勧められる)です。

添付文書はこちら


4. 治療の注意点

4-1. 使用方法

外用薬は全身に均等に塗布し、治療後は入浴を避けることが重要です。特に、治療後に皮膚が湿らないようにし、薬剤が完全に浸透するまで待つことが推奨されます。

4-2. 同時治療と家族への対応

疥癬は非常に感染力が高いため、患者だけでなく家族や同居者にも同時に治療を行うことが推奨されます。再感染を防ぐために、家庭内や施設内での感染拡大を防止する必要があります。


5. 疥癬の経過観察と再発防止

治療後にかゆみが続くことがありますが、通常は数週間内に収束します。再発防止のためには、治療期間を守り、生活指導を徹底することが重要です。治療後も経過観察を行い、再発の兆候がないか確認します。


6. 結論

疥癬は感染力が非常に強いため、早期の診断と適切な治療が重要です。外用薬と内服薬を組み合わせた治療法が効果的であり、治療後は生活指導と環境管理を徹底することが再発防止に繋がります。再発や治療後のかゆみに関しても、十分に注意を払い、経過観察を行いながら治療を進めることが推奨されます。

ノルウェー疥癬についてはこちらの記事をご確認ください

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