はじめに:退職を迷うあなたへ
看護師として働く中で、「残業や夜勤がつらくてもう辞めたい」「今の病院は人間関係での不満が大きい」と考えたことはありませんか?
退職は人生の大きな決断の一つですが、不安や迷いも伴います。本記事では、退職を考える理由や円満退職の手続き、退職後のキャリアについて詳しく解説します。筆者の転職の経験も踏まえて、みなさんが新しい一歩を踏み出す際に役立つ情報を提供しますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 看護師が退職を考える理由とその背景
退職を考えるきっかけ
多くの看護師が退職を考える背景には、いくつかの共通した理由があります。実際の現場からよくきかれるきっかけをまとめました。
- 人間関係のトラブル
- 上司や同僚との関係がうまくいかない。
- 「相談しても理解してもらえない」「チームワークが欠けている」などのストレス。
- 看護師は女性が多く、女性ならではの人間関係のトラブルも多いのが現実です。
部署を変えるのもなかなかハードルが高く、その相談する上司とも馬が合わないこともあり転職したほうが早いケースも多いです。
- 過酷な労働環境
- 長時間労働や夜勤による疲労の蓄積。
- シフトが不規則でプライベートな時間が取れない。
急性期病院では残業が多く、病院では月5回程度の夜勤は必須のため生活リズムが乱れストレスの原因になり、クリニックや訪問看護など比較的整った勤務形態を求めて退職するケースが多いです。
- 給与や待遇への不満
- 労働に見合わない賃金や昇給の見込みがない現状。
- 福利厚生が他の職場に比べて見劣りする。
- 看護師免許を取得して初めて働く職場は、給与や待遇を気にせず入職することが多いと思います。しかし、実際勤め生活しはじめると思ったよりお金の余裕がなかったり、給料に不満を感じることがあります。いろんな職場を知ることで同じ仕事内容でも給料がかなり違うケースもあるので今よりいい給料や待遇を求めて転職することは自然な考えです。
- キャリアアップやスキルアップへの希望
- 「もっと専門性を高めたい」「新しい分野で挑戦したい」といった前向きな動機。
- 病院によっては認定看護師などの資格取得やキャリアアップのための教育に力を入れている病院もあり、資金面の支援を受けることができます。資格取得をし給料アップも見込めるので将来を見据えてそういった環境の整った病院に転職するケースもあります。
- 家庭やライフスタイルの変化
- 結婚、出産、介護など、ライフステージの変化による影響。
- 同棲したいが彼氏は職場を変えることができないため看護師の彼女が転職し引っ越すケースはよくあります。筆者も男女逆ですがこのケースでした。面接の際にそのことも正直に話しましたが問題なく採用されました。
2. 後悔しない退職をするための準備
退職を決断する前に、以下のポイントを確認することで、後悔を最小限に抑えることができます。
退職前に確認すべき5つのポイント
- 経済的な準備を整える
- 退職後の生活費を考慮し、3〜6ヶ月分の生活費を貯蓄する。
- 失業保険の受給条件を確認する。
- 次の職場で働くまでの少しの間、仕事をしない期間をつくることもありますが、経済的な準備も必要です。とくに引っ越しする場合は現在の住居の退去費用や新居の初期費用や家具・家電の費用必要になるためあらかじいめ準備をしましょう。
- 次の仕事を視野に入れる
- 退職後の目標やキャリアパスを明確にする。
- 転職活動を始める場合は、信頼できるエージェントを利用する。
- 多くの場合は、せっかくとった国家資格の看護師としてキャリアを継続すると思います。筆者が退職の意向を伝えるときにはすでに次の職場は決まっており、そのことを伝えることでスムーズに飲み込んでもらえました。また、数ある病院やクリニックのなかで自分が求める職場を自力で探すのは骨の折れる作業です。
- 心の整理をする
- なぜ辞めたいのか、紙に書き出して気持ちを整理する。
家族や友人と話し合う。 - 紙に書き出すことで考えがはっきりと整理することができ、退職後の仕事探しの基準も明確になりやすいです。不満だった点が心配なくなるような職場選びを意識しましょう。また、自分の考えを誰かに話すことで、頭の中がすっきりし退職の思いを固めることもできます。
- 退職後の計画を具体化する
- 何をしたいのか、どんな生活を送りたいのかを考える。
- 退職はゴールではなく、次によりよい環境の職場で働くための準備です。自分がどのような環境で働きたいかイメージしましょう。
3. 円満退職のための手続きとマナー
退職をスムーズに進めるためには、法律やマナーを理解し、適切な対応をすることが大切です。
退職手続きの流れ
- 退職意思を伝える
- 上司に直接会い、退職の理由を簡潔かつ前向きに伝える。
- 退職の時期は1〜3ヶ月前が一般的。
筆者は定期的に行われる面談の際に師長に退職することを伝えました。筆者の場合、半年ほど前でしたが、早めに伝えるほうが職場としてもいいですし、自分自身の気持ちも楽になります。
- 退職願と退職届を提出する
- 退職願:退職の意思を示す書類。提出は任意。
- 退職届:正式な退職申請書。必要な場合は書式に従う。
口頭で退職の意向を師長に伝えて、直接書類を渡されるケースが多いと思います。
- 引き継ぎ業務を行う
- 後任者への業務引き継ぎを責任を持って進める。
委員会業務や新人指導など引継ぎが必要なこともありますが、シフトの兼ね合いでなかなかスムーズにできないこともあるので早めに準備しておきましょう。
- 最終出勤日に挨拶をする
- 職場でお世話になった人々に感謝の気持ちを伝える。
円満に退職になった場合は始業前などにセレモニーを開いてくれることもあると思います。どんなことがあったとしてもこれまでお世話になった職場なので感謝の気持ちを言葉で伝えましょう。
注意点
- 退職日までに有給休暇を消化したい場合は、早めに申請する。
- 退職後も守秘義務があるため、職場の情報を外部に漏らさない。
4. 退職後のキャリア選択肢:看護師としての未来を切り拓く
看護師としての経験を活かし、退職後も看護師としてのキャリアを継続する選択肢は多岐にわたります。これから紹介する選択肢を参考に、あなた自身の理想の働き方を見つけてください。
1. 病院間での転職
もっと自分に合った職場環境を求めたい方におすすめ
- 総合病院や大学病院への転職
大規模な病院では、高度な医療に携わることができ、専門性を深める機会があります。また、教育体制が充実しているため、スキルアップを目指す方にも最適です。 - 中小規模病院やクリニックへの転職
患者さん一人ひとりと向き合う時間を大切にしたい方に適しています。夜勤がない職場も多く、生活のリズムを整えやすいメリットがあります。
成功例
・筆者の学生時代の同級生の話ですが、以前は400床の総合病院で残業や夜勤も多く忙しさに追われていましたが、地域密着型のクリニックに転職してからは、残業もほとんどんなく、夜勤もないため自分のペースで働くことができているそうです。
2. 訪問看護ステーションへの転職
患者さんの生活全体をサポートする働き方を求める方におすすめ
訪問看護では、患者さんの自宅を訪問し、医療ケアや生活支援を行います。一人ひとりにじっくり向き合えるため、病院勤務では味わえないやりがいを感じられます。
メリット
- 自分のスケジュールに合わせて働ける柔軟性
- 家庭や子育てとの両立が可能
- 患者さんや家族から直接感謝される場面が多い
3. 療養病院や介護施設・特別養護老人ホームへの転職
高齢者ケアに特化したい方におすすめ
超高齢社会の日本では、介護施設で働く看護師の需要が高まっています。病院のような急性期対応ではなく、長期的な健康管理が主な業務となります。
業務内容
- 入居者の健康状態の把握
- 医療処置や服薬管理
- 他職種(介護士、リハビリスタッフなど)との連携
注意点
・療養病院や介護施設は設備が昔ながらの習慣が残っていたり、入れ替わりが少ないため、職場ごとに独自の雰囲気あり自分に合わないケースもあります。実際の雰囲気をみて慎重に決めることをおすすめします。
筆者の知人のエピソードですが、忙しい環境から落ちついた環境を求めて療養病院に転職しましたが、そこの病棟は数十年とその病棟で勤務している看護師や介護士が新人に嫌がらせをするようなことがあり、それをみていられなく結果的に半年で退職してしまったそうです。
4. 看護師専門の派遣会社を活用する
柔軟な働き方を求める方におすすめ
派遣看護師は、短期間でさまざまな現場を経験できるため、自分に合った働き方を模索したい方に適しています。
派遣看護師の特徴
- 短期契約で特定の職場で働く
- 時給や日給が高めに設定されていることが多い
- 自分のペースで働ける自由度が高い
人気の派遣先
- 病院(応援看護師としての募集が多い)
- イベントナース(スポーツ大会やフェスなどの医療サポート)
- ワクチン接種会場
成功例
知人の話によると、1か所の職場にしばられないことで人間関係の悩みも抱えることなく毎回新鮮な気持ちで楽しく働くことができているそうです。この方のように柔軟に対応できたりコミュニケーション能力の高い看護師は向いていると思います。
5. 認定看護師や専門看護師を目指す
さらに専門性を高めたい方におすすめ
認定看護師や専門看護師の資格を取得することで、特定の分野に特化した高度な看護ケアを提供できます。キャリアアップと同時に給与アップも期待できます。
専門性を高めるための研修やサポート体制も把握し、充実した職場を選ぶことで将来の道筋がはっきりとなると思います。
6. 看護師資格を活かした教育職
看護師の後輩育成に携わりたい方におすすめ
看護学校の教員や研修担当として、次世代の看護師を育てる仕事に転職する選択肢もあります。
必要な資格やスキル
- 教員資格認定試験の合格
- 豊富な臨床経験
- コミュニケーションスキル
7. 看護師として働きながらプライベートも充実させる
看護師のキャリアを続けながらも、働き方を見直すことで生活の質を向上させることができます。
例:短時間勤務やパートタイムの活用
- 家庭や子育てとの両立を図るために短時間勤務を選択。
- 経済的な負担を減らしつつ、スキルを維持するための選択肢として人気。
6. 退職後の生活と支援ツール
退職後の新しい職場を探すには転職サイトの利用をおすすめします。完全無料で利用でき、職場探しだけでなく、面接や書類のサポートも受けられ忙しいなかでの味方になってくれる存在です。
看護師転職サイト
転職サイトは、看護師のキャリアに特化したアドバイスを提供してくれるため、効率的に次の職場を見つけることができます。
転職サイトが持っている求人はそれぞれ違うため、複数登録し自分にあった職場探しをしましょう。
7. 筆者の経談とアドバイス
退職・転職して良かったこと
- 彼女と同棲を始めたことで環境がよくなりプライベートが充実した。
- 給料があがって仕事へのモチベーションアップになった。
退職・転職で大変だったこと
- 就職準備をしながら、引っ越しの準備をしたり忙しい時期があった。
- 退職してから入職するまであっという間で少し早めの退職してもよかったかも…と後悔した。
アドバイス
- 転職サイトは担当者によって大きく左右されることもあるので、複数利用したり場合によっては担当を変更してもらうことも選択肢の一つです。
- 余裕をもって次の職場の移れるように事前に退職の話をしたり、早めの行動を心がけましょう。
8. おわりに
看護師として退職を考えることは、大きな人生の転機です。不安もありますが、事前に準備を整え、正しい情報をもとに行動すれば、より良い未来が待っています。この記事が、皆様のの新しい一歩を踏み出す助けとなれば幸いです。